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大人気「ちょい飲み」ブームはどの業界まで広がるのか?

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昨年から広がりを見せている「ちょい飲み」。仕事終わりに短い時間でサクッと飲んで帰ろうと「飲みスタイル」は、多くのビジネスマンに好評だ。私も過去のブログで何度か「ちょい飲み」が人気になっている背景を書かせて頂いた。(「居酒屋業界に追い討ちか サク飲みブームの裏側」2014年8月)(「今とってもアツい! “ちょい飲み”ブームが拡大するワケ」2014年9月)今回のブログでは、ますます広がる「ちょい飲み」ブームの現状について、あらてめて紹介していきたい。

 

■ 牛丼チェーン最新事情

 

夜の時間帯になると「吉呑み」という暖簾を出して「ちょい飲み」客を誘う吉野家今やファミレスと並んで「ちょい飲み」ブームの立役者的な企業となっている。吉野家は一ヶ月で数十店舗を増やすほど「吉呑み」実施店の出店ペースを上げている。2015年6月末までに約360店舗まで増やす予定だ。私も何度か訪れいるが、17時台の開店直後は一人で来る客が多く、夜になるにつれて会社帰りの複数客の姿が目立つ。吉野家は朝食時間帯に女性客を取り込もうとメニュー改訂をしている。朝、昼、早い夜、遅めの夜と時間帯によって来店客層が変わるという良い循環に入りつつある。

 

松屋も2015年5月から都内の100店強で居酒屋メニューをスタートさせた。吉野家比べると遅めのスタートだが、逆に言えば、牛丼チェーン企業にとって「ちょい飲み」がより重要な収益源になってきたことを示すものだ。

 

■ ファミレス最新事情

 

吉野家とともに「ちょい飲み」ブームを牽引してきたのはファミレスだ。「生ビール+おつまみ」セットを展開する店はかなり一般的になってきた。バーミヤンにいたっては、全店で焼酎のボトルキープまで可能だ。

 

■ ハンバーガーチェーン参入加速

 

最近増えてきたのはハンバーガーチェーンでの「ちょい飲み」だ。そもそもハンバーガーは昨年から人気が高まっている。高級肉を使った1000円程度もする高級バーガー店の人気店も多い。ハンバーガーチェーンでも、高級肉を使ったバーガーが発売される他、ヘルシーさを意識した野菜系バーガーの発売が続いている。「ちょい飲み」ブームの広がりは、いよいよハンバーガーチェーンの参入へと繋がってきた。

 

フレッシュネスバーガーは、生ハム食べ放題・ワイン飲み放題サービスを実施しているが、その実施店を2015年内に2倍の100店程度まで拡大する。バーガーキングは2015年7月より約半数の店舗でクラフトビールなどの販売を開始する。

 

マクドナルド、ロッテリアモスバーガーなど大手ハンバーガーチェーンとの差別化を図る意味でも、それぞれのハンバーガーチェーンが自社の個性とのシナジーを考えながら「ちょい飲み」ブームに乗ろうという戦略が見えて来る。

 

■ まとめ

 

「ちょい飲み」ブームは、さまざまな業界の垣根を超えた争いをもたらした。最初は、居酒屋の顧客をファミレスや吉野家が獲得することから始まった。その後、自宅で食事をとるナカショクブームとともにコンビニが出てきた。クラフトビールやチューハイなどバリエーションの広さが消費者に受け入れられ、「ウチ飲み」というスタイルが浸透していった。そして、ハンバーガーチェーンが参入し、さらに競争相手は増えた。

 

昨年から今年にかけての短期間でとても流れの速い展開であり、企業が経営やマーケティングの戦略を立てる上では苦労していることだろう。ただ消費者からすれば歓迎すべき状況だ。一緒に飲む相手、雰囲気、飲み方によって、多くの選択肢から選ぶことが出来るようになっているのだ。しかも、それが安いというのは嬉しいことだ。「ちょい飲み」ブームはまだまだ拡大する。近い将来、また異業種からあらたな競争相手が出てくることだろう。