マーケティングの現状と未来を語る

世の中のニュース、トレンド、ブームをマーケティング視点からわかりやすく解説します

なぜ大塚家具のCMは視聴者の共感を得られたのか?

f:id:yasushiarai:20150717145947j:plain

大塚家具のテレビCMが話題になっているようだ。親子ゲンカを意識させるような内容が入っているためだ。

ネット上で高い大塚家具のCM評価

www.youtube.com

面白いのは大塚家具のCM評価がネット上では高いことだ。今まで大塚家具に興味がなかったり、来場しなかった人たちには若い人たちが多い。なぜなら従来の大塚家具の顧客層は高齢層であり、富裕層であり、結婚を控えた子供と来場する親世代だからだ。新しい大塚家具のアプローチに面白いと感じるのは、従来の顧客層ではなく、新しい人たちである。その人たちが大塚家具に来場し、購入するかどうかは別問題としても、新生大塚家具が獲得したい新たな顧客層には、ブランドイメージを高めることが出来たのだ。それがネット上の高評価に現れていると言って良い。

 

なぜ大塚家具のCMは視聴者の共感を得られたのか?

 

今の消費者の動向を見ると、杓子定規だったり、自信満々な企業よりも、冗談がわかるような企業の方が消費者に支持されやすい傾向がある。例えば、2014年に起きたマクドナルドの品質問題。問題の説明にあたったカサノバCEOの自信満々の様子は、話す内容以前にその雰囲気から消費者に受け入れられなかったと言える。

 

もちろんマクドナルドと大塚家具では、発生した問題の重大性が異なる。ただ、「企業が消費者にとってフレンドリーに感じられる存在であるかどうか」を問われている点では共通している。

 

大塚家具のように、いわば稚拙な親子げんかに見える騒動がありながらも、それをシャレにしてしまうようなセンスは消費者に受け入れられやすい時代なのだ。

 

これが大塚家具のCMが高評価を受けている大きな理由なのだ。

 

マーケティングにおける企業姿勢のあり方

 

企業にしてみれば、消費者からのクレームは改善のヒントであるとともに、企業イメージを損なう危険性を伴うリスクでもある。特にソーシャルメディアが発達し、誰でも情報発信ができる今、経営トップの会見だけでなく、店頭の対応ひとつ、お客様電話窓口の対応ひとつが、企業にとって致命傷になりかねない。したがって、ミスがないようにと戦々恐々としている企業は少なくない。

 

ただ、それではミスが起きる可能性は低くなっても、情報も製品も溢れる日本市場で、消費者から選ばれる可能性も低いままだ。大塚家具の事例から得られるヒント、消費者に笑ってもらえるようなフレンドリーな関係作りも有効だということだ。日常の友達関係においても杓子定規な関係よりも、オープンマインドになって、時にはバカなことを笑いあえる関係の方が友達関係は深まったりすることが多い。

 

これからの企業に求められるのは、消費者とのフレンドリーな距離感作りである。それはCMや広告やイベントなどのマーケティングだけでなく、経営のレベルで理解し実践することが有効になってきたのだ。